手術について

日帰り白内障手術について

白内障手術とは?

白内障の手術は、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入します。これによって、白内障の濁りにさえぎられていた光が目の中にきれいに入るようになり、ものを見る力、すなわち矯正視力を取り戻します。

小切開白内障手術~現在の標準手術

超音波乳化吸引術と丸く折りたためる眼内レンズになり小切開白内障手術が確立しました。

①超音波乳化吸引術
水晶体を取り除く方法が、超音波乳化吸引術になり切開創が小さくなりました。超音波乳化吸引術とは、水晶体の袋を丸く切開した後に、超音波を水晶体の中身に当てて、粉砕して吸い取る術式です。

【超音波乳化吸引術のイラスト】

②眼内レンズは丸めて入れる(“Foldable IOL”)
眼内レンズは、光学部直径が6ミリあるため、そのままでは6ミリの切開創が必要です。丸めて入れて、眼の中で広がり元にもどる「foldable IOL」が主流となり、切開創は3ミリ以下になりました。

【インジェクターにより眼内レンズを丸めて挿入】

【Foldble IOL】眼内レンズを丸めて小切開から挿入し、眼の中で自然と開いて元の形にもどります。

白内障手術は日帰り手術へ(日帰り白内障手術)

小切開白内障手術になったことで、術後の眼の安定性と回復が格段に良くなり、入院の必要性がなくなりました。日帰り白内障手術が増え、最近では入院して行う白内障手術の3倍になりました。

術後の見え方を決める3つの条件

術後よく見えるために必要なことは、
1.正確で安全な手術であること~リスクを見極めトラブルを起こさない
2.正確な乱視矯正(正乱視がある場合)
3.眼内レンズの選択~単焦点か多焦点か

私どもは、ただ単に手術を行うのではなく、おひとりお一人の眼の状態を把握して、正確で安全な手術を行います。術後どのように見えることを期待されているかを把握して、手術プランをたてます。3つの条件について詳しく見ていきましょう。

1正確で安全な手術であること

安全な白内障手術とは?

①水晶体を包む薄い袋(水晶体嚢)が破れることを「後嚢破損」といいます。後嚢破損せずに手術が完了することが安全な手術です。

②角膜内皮細胞にやさしい手術
超音波乳化吸引術は、パワーが強いため、角膜内皮と水晶体嚢やチン小帯へのダメージを与えます。このダメージが少ない手術が、安全で上手な手術といえます。

【超音波乳化吸引術】
硬い水晶体を砕き吸い取るパワーが、角膜内皮や水晶体の効能とチン小帯にダメージを与える。

リカバリーの力が必要な後嚢破損

なかでも、水晶体嚢破損は、水晶体の後ろにおとなしくしていた硝子体が破れ目から飛び出してきて、手術を困難にします。飛び出してくる硝子体を制御しながら、水晶体核を落とさないように取り出すリカバリーを行いますが、経験を要する難しい手技です。時に、水晶体の核が破れ目から硝子体腔へ落ちてしまいます(水晶体核落下)。こうなると、白内障手術では対応ができなくなります。目の奥を治療する硝子体手術に切り替えて、落下した核を取り除きます。日帰り手術で可能です。

【水晶体の後嚢破損】
後嚢が破れると、硝子体が前へ飛び出してきて、手術が困難になる。

【水晶体核落下】
水晶体後嚢が破れ目から、水晶体の硬い中身(核)が落下する。

【硝子体手術】
水晶体核が落下すると、白内障手術では対応不能となる。落ちた核を取り除くためには、硝子体手術を行う。

後嚢破損のリスクのある難しい目がある

後嚢破損を起こしやすいリスクのある目があります。このリスクを見極めるのが、名医の条件です。

1)チン小帯が弱い目~最も手術が難しくなる

水晶体を支えている無数の細い線維をチン小帯といいます。チン小帯がしっかりしているおかげで、超音波乳化吸引術は安全にできます。ところが、チン小帯が弱い目が存在し、術中水晶体が不安定になるため、手術が難しくなります。

【水晶体亜脱臼】
上方のチン小帯が切れて下方に落ち込んだ水晶体。一目で異常がわかるが、わかりにくい症例もある。

(ア)落屑症候群の一部

白い粉末状の物質(落屑物質)瞳孔や水晶体に付着する疾患で、60歳以上の30%に認められるとされます。眼圧が上がり緑内障になる場合もあるため注意が必要です。
(久保 江理 Ⅱ.所見からみた診断の進め方 6 水晶体 3)落屑物質・水晶体沈着物質眼科 60巻10号 (2018年9月)

(イ)網膜剥離や緑内障の手術歴のある目の一部

(ウ)浅前房の一部

角膜と水晶体の間には前房と呼ばれる房水のたまり場があります。チン小帯が断裂したり、弱いと水晶体が前に移動して(亜脱臼)前房が浅くなります(浅前房)。しかし、浅前房がすべてチン小帯が弱いとは限りません。通常の細隙灯検査では気がつきにくく、3次元OCTを用いて亜脱臼が判明することもあります。

【水晶体亜脱臼による浅前房】
左の細隙灯写真では、わかいりにくいが、右の3次元OCT画像では、水晶体亜脱臼が明らかで、チン小帯が断裂していることがわかる。

2)極度に水晶体核が硬い目

白内障が進むと核が硬くなっていきます。5段階のグレードで示されることが多いですが、硬くなりすぎて光が通過できなくなるとグレード5です。硬いほど、超音波乳化吸引術の時間が長くなり、後嚢破損のリスクが増えます。グレード4~グレード5で安定した手術ができる術者は経験豊富な名医です。硬くなりすぎないグレード3くらいでの手術が望ましいといえます。

3)膨化白内障

水晶体は加齢により徐々に大きくなっていくものですが、膨化白内障は短期間で水晶体が溶けて急激に膨化が進む白内障です。水晶体が膨化して内部の圧力が高まっているため、水晶体のふくろを丸く切る「前嚢切開」の時に、ふくろがぱっと裂けやすくなります。運が悪いとふくろが真っ二つに裂けて水晶体核が目の奧に落下します。前嚢切開に工夫が必要です。レーザー白内障手術は避けるリスクを軽減します。

【膨化白内障】
水晶体の中身が溶け出し水泡が観察される。

4)前立腺のお薬(α1遮断薬)を長期に内服している男性

前立腺肥大の治療としてα1遮断薬を長期に服用すると、虹彩が弱くなります。普段は問題になりませんが、白内障手術の時に、虹彩がばたついたり、手術創からはみだしてきて、手術がストレスの高いものになります。術中虹彩緊張低下症候群(アイフィス、IFIS)といいます。

水晶体を支える線維がぐらぐらに弛んだり切れている症例(チン小帯断裂症例)、角膜と水晶体の間のスペースが狭い症例(浅前房)、緑内障を併発している症例、極度に水晶体が硬くなった症例、急激に進み膨張している症例(膨化白内障)などです。前立腺のお薬を内服している方も黒目が脆弱になりハイリスクですし、緑内障の手術を受けたことがある場合にも同様にハイリスク症例といえます。

  • 安全確実な手術
  • 白内障手術
  • 新しいライフスタイル

リスクのある難しい目には準備が必要

安全に手術を行うためには、前房が深く、水晶体と虹彩が安定していることが重要です。リスクのある目には、特殊な道具を用意して安定をつくり手術を安全に行います。日帰り手術で可能です。

①高分子量ヒアルロン酸

高分子量ヒアルロン酸は、深い前房を保ち、バタつく虹彩や水晶体嚢を安定化させる力があり、ハイリスク症例でも安全に手術を行うことができます。

【高分子量ヒアルロン酸】
前房を安定化させる。

②カプセルエキスパンダー

チン小帯が切れて落ち込んだり、揺れたりする水晶体嚢を支えて、後嚢破損を防いで安全に手術を行うことができる。

【カプセルエキスパンダー】
4カ所カプセルエキスパンダーで支えながら手術を行う。

チン小帯断裂が生じている場合の眼内レンズ固定法

工夫をして後嚢破損を起こさずに手術を終えても、チン小断裂があると眼内レンズを安定して固定することができません。断裂している範囲により対処法が異なります。すべて日帰り手術が可能です。

【チン小帯断裂】
チン小帯断裂があると眼内レンズは不安定になる。

1)チン小帯断裂が120度以内

断裂の範囲が120度までなら、水晶体嚢拡張リングを水晶体嚢の中に入れて、内側から補強することにより安定化させ、眼内レンズを嚢内に固定することができます。

【水晶体嚢拡張リング】

【水晶体嚢拡張リングによる補強】

2)チン小帯断裂が120度を超える

水晶体嚢拡張リングを用いても、リングごと眼底に落下するリスクがあるため、水晶体嚢内への固定はせず、強膜内固定法で固定します。日帰り手術でできます。

<強膜内固定法手順>

①硝子体手術を行い、十分に硝子体を切除する。

②図のように眼内レンズの支持部(ループ)を強膜内に通して固定します。

【眼内レンズ強膜内固定法】
眼内レンズのループを虹彩や毛様体の後方から強膜内を通して輪部から2ミリの部位に固定する。

トラブル処理のバックグラウンドがあっての安全な手術

水晶体嚢が破れたとたんに硝子体が前方に出てきますので、硝子体を扱う手術技術と経験が必要になります。後嚢破損の処理、核落下の処理、チン小帯断裂例における眼内レンズ固定など、身につけておかねばならない高度な手技があります。トラブルが起きないようにするのが安全な手術ですが、何があってもきれいに対処して、眼内レンズを所定の位置に固定する高い技術を持っていることが、正確で安全な手術、または、責任ある手術といえましょう。

角膜内皮にやさしい手術

白内障手術は角膜内皮細胞にダメージを与え、細胞数を減少させます。減少の程度は術者の腕と目の状態と手術の合併症の有無によります。角膜内皮細胞が1000個/mm2以下になると角膜の透明性が低下し、500個/mm2をきると角膜が腫れて皺が寄り白くなります。これを水疱性角膜症といい、角膜内皮移植が必要になります。コンタクトレンズ歴が長かったり、目の怪我があったり、目の手術歴や角膜の病気があったりして手もともと角膜内皮細胞がかなり減っている目で、次のような白内障手術の問題があり手術による角膜内皮細胞数減少が多くなると水疱性角膜症のリスクがあります。

①水晶体の核がとても硬く、超音波乳化吸引の時間がかかる場合
②後嚢破損が起きた場合:後嚢破損が起きると硝子体処理、核片除去など手間のかかる操作が増えるため、内皮へのダメージが増えます。
③チン小帯が断裂している場合:手術そのものや硝子体処理など操作の時間が増えるため、内皮へのダメージが増えます。

【水疱性角膜症】

  • 術前にリスクを分析・把握
  • リスクに備えた手術の準備
  • ハイリスク白内障の手術
2正確な乱視矯正(正乱視がある場合)

角膜乱視は術後の見え方に影響が大きい

白内障手術後に問題になるのは、角膜乱視です。角膜乱視とは、角膜がひずんでいることで、ものが二重に見えたり、ぼやけて見える原因になります。

乱視には正乱視と不正乱視がある

不正乱視は、特殊なケースです。角膜に、病気や外傷などで角膜に不規則な歪みが生じている状態で、残念ながら眼内レンズや眼鏡では矯正できず、ハードコンタクトレンズによる矯正が必要になります。いわゆる乱視と呼んでいるのは、正乱視のことです。ある方向にひずんでいるだけの単純な変形ですので、眼鏡でも眼内レンズでも矯正できます。正乱視は、ひずんでいる軸の方向により直乱視、倒乱視、斜乱視と分けることができます。

乱視がない場合、バレーボールのように、角膜のカーブは、どの軸でも同じなので、どの軸を通る光も同じ点で焦点を結びます。一方、正乱視の目は極端に例えると、ラグビーボールのように強いカーブ(強い屈折)と弱いカーブ(弱い屈折)があり、一番強いカーブと一番弱いカーブの軸は90度をなしています。

【正乱視は角膜のカーブが軸により異なる】

角膜の正乱視をトーリック眼内レンズで減らす

トーリック眼内レンズとは、眼内レンズ上で角膜正乱視と同じ程度の屈折のひずみを持つレンズのことです。角膜の屈折が一番弱い軸に、トーリック眼内レンズの屈折が一番強い軸を合わせて固定すると、乱視がキャンセルできるという原理です。

【トーリック眼内レンズの特徴】

【トーリック眼内レンズの原理】
屈折の変化を付けた眼内レンズをトーリック眼内レンズといいます。眼内レンズの最大屈折軸を角膜の最小カーブ軸(最小屈折軸)に合わせると、角膜の乱視がキャンセルされます。

トーリック眼内レンズは正確な手術が必要

角膜とトーリック眼内レンズの軸を合わせるには、正確な手術が要求されます。軸が1度ずれると効果は3%減弱し、30度ずれると矯正効果はなくなってしまうといわれています。これほど正確さが要求される難しい手技なのです。ところが、ひとつ問題があります。それは、眼の位置が検査時の座位と手術時の仰臥位で異なる問題です。図のように仰臥位になると眼が回旋してしまう問題が、正確な軸あわせを困難にしていました。

白内障手術ガイダンスシステム

この問題を解決したのが、白内障手術ガイダンスシステムです。当院は、Alcon社のVERIONを使用しています。

【白内障手術ガイダンスシステム”VERION”】
VERIONは、術前に眼の表面の情報(血管や虹彩の模様など)を精密に測定して記憶します。

【VERIONによる乱視軸合わせ】
VERIONは、眼の位置を記憶しており、眼が回旋しても、リアルタイムに正確な乱視軸の位置を表示してくれます。そこに、眼内レンズ上の軸マーカーを合わせます。

3眼内レンズの選択~単焦点か多焦点か

最初の眼内レンズは焦点をひとつしか持っていなかったため、選択するのは、どこにピントを合わせるかということでした。そして、今では多焦点眼内レンズが進歩して老眼を矯正することができるようになったため、単焦点にするか多焦点にするかという選択肢が生まれました。多焦点眼内レンズを選んだ場合は、多様なタイプが存在するため、どの多焦点眼内レンズにするかという選択が生まれます。眼内レンズは患者さん自身が選ぶ時代になったといえます。ご自分に合った眼内レンズを選ぶことができれば、感動を覚え、その後の人生を変えるくらいの喜びがあります。
その代わり、あらかじめよく知った上で選ばなければなりませんので、患者さんもたいへんです。手術後に後悔するのはよくありませんので、ご理解のうえ、ご自分に合った選択をしていただきたいと思います。詳細は、できるだけわかりやすく、「眼内レンズについて」でまとめてみましたのでご参照ください。

お一人おひとりのライフスタイルに合わせた眼内レンズ選びを

お一人おひとりのライフスタイルに合わせた眼内レンズ選びを

白内障手術をすべての患者さんにとってハッピーなものにするためには、ひとりひとりのライフスタイルに最適な眼内レンズを選ぶことが必要です。

そのためには、扱える眼内レンズの種類が豊富であることと、眼内レンズの知識が深いことが必要です。はんがい眼科は、通常の単焦点レンズから、国内認可の眼内レンズ、ヨーロッパ直輸入の多機能レンズまで広い選択肢を用意しています。
当院では、白内障手術で新しいライフスタイルを始められるように万全の体制でサポートします。

白内障手術のメリット

1「見る力」を取り戻すことができる

網膜の中心部である「黄斑」が正常であれば、「見る力(矯正視力)」を取り戻すことができます。

2自分のライフスタイルに合う屈折を選び直せる

「屈折」とはピントが合う距離のことです。強い近視や遠視の方は、遠くも近くもぼやけて見えて不便な生活を強いられます。眼内レンズの度数を選ぶことにより、遠くか手元のどちらかにピントを合わせることができます。つまり、メガネをかけなくてもどちらかがはっきり見えるようにできるのです。車の運転やスポーツをされる方は遠くに合わせる、読書や編み物が趣味の方は読書距離に合わせるなどです。強度近視の方は、メガネ無しで遠くがよく見えるようにすると劇的に生活が変わります。「人生が変わった」という言葉をいただきます。

3強い乱視も治すことができる

トーリック眼内レンズを用いると乱視を治すことができます。乱視はものがダブって見えることをいいますが、角膜乱視と水晶体乱視があります。水晶体乱視は白内障手術そのもので乱視の原因が無くなり治ります。角膜乱視は、メガネやコンタクトレンズで矯正してきましたが、乱視矯正可能なトーリック眼内レンズというレンズを用いると乱視を治すことができるのです。保険内診療です。

4老眼も治すことができる(選定療養・自由診療)

高価ではありますが「多焦点眼内レンズ」を選ぶと、遠くにも近くにもピントが広がります。さまざまな多焦点レンズがあり、メガネをかけるシチュエーションがかなり減らせるものから、メガネを全くかけなくてすむものまであります。

5急性緑内障発作が起こらなくなる

角膜と虹彩の根元に、目の中の水の出口である「隅角」とよばれる場所があります。年齢とともに隅角が狭くなる方がいます。これは、もともと遠視または正視の方に多いです。このような方は、暗がりで長時間うつむき加減で作業したり、緑内障禁と書かれたお薬を使うと、急性緑内障発作のリスクが高まります。急性緑内障発作とは、隅角が閉塞して急激な眼圧上昇が起こることで、治療が遅れると視神経が傷つき視野を失うリスクがあります。白内障手術を受けることで急性緑内障発作が起こらなくなります。慢性的な閉塞隅角緑内障の治療にもある程度有効です。

6緑内障の経過観察

「緑内障」では視野障害が進むスピードを調べて治療の強さを決めます。白内障が進んでも視野障害が進むため、緑内障の進行を把握することが困難になります。白内障手術により、緑内障の進行を把握できるようになるのです。

7眼底疾患の診断と経過観察が十分にできる

白内障により水晶体が濁ることで、光が通りにくくなり眼底の詳細な診察が難しくなり黄斑や網膜の病気を診断したり経過観察したりすることを妨げます。眼底カメラや光干渉断層計という重要な眼底画像検査もきれいに撮れなくなります。手術を受けることで眼底の詳細な検査が可能になります。

レーザー白内障手術

レーザー白内障手術

レーザー白内障手術とは?

レーザー白内障手術とは?

角膜移植やレーシックなどの手術に用いられている「フェムトセカンドレーザー」の技術が、白内障手術にも取り入れられるようになりました。フェムトセカンドレーザーとは、1000兆分の1秒単位で照射される超高速な特殊なレーザーです。ミクロン単位の精度で切開が可能となり熱もほとんど出ません。しかも、コンピューター制御できますので、計画したとおりの切開を行うことが可能です。

当院でも2018年5月から承認機種のひとつであるアルコン社の「LenSx(レンズエックス)」を導入しました。レーザーですべての白内障手術ができるという誤解がありますが、そうではなく従来、術者がメスや手術器具で行う「経験や感覚」に基づく角膜切開、水晶体前嚢切開、水晶体分割などの手技手技を、コンピューター制御で超精密に計画通りに行うことができるようになったのです。

白内障の手術は従来の方法でも安全に行えます。しかし、コンピューター制御のフェムトセカンドレーザーによる白内障手術が登場したのは、プレミアム眼内レンズを用いる場合により精密で狂いの無い手術が求められるようになったからです。
プレミアムレンズ、すなわち多焦点レンズの効果を十分に発揮するためには、より水晶体の嚢の真ん中に傾くことなく固定する必要があるのです。前嚢切開をレンズのサイズに合った大きさで、水晶体嚢の真ん中の位置に正円に作成する必要があります。このように高度な精度を必要とするときには、人間の技術よりコンピューター制御下で緻密に行うレーザー治療が優れているためです。水晶体嚢を固定してる線維であるチン小帯に負担をかけない点でも優れています。

レーザー白内障手術のメリット

レーザー白内障手術のメリットは、①計画通りの正確な切開ができる、②合併症が起こりにくい、③目の負担が減る の3つに集約されます。これらは特により正確な手術が要求されるプレミアム眼内レンズ(高機能眼内レンズ)で威力を発揮します。近年、乱視矯正機能のついたトーリックレンズ、遠近にピントの合う二焦点眼内レンズに加え、遠中近にピントの合うトリフォーカル(三焦点)眼内レンズや遠くから近くまで連続して焦点が合う焦点深度拡張型眼内レンズなどの機能性の高い眼内レンズが使用可能となっています。これら付加価値のついたレンズを総称してプレミアム眼内レンズと言います。プレミアム眼内レンズの使用において求められるのは、正確性と合併症が起きないことなのです。

プレミアム眼内レンズは、より水晶体嚢内に眼内レンズを固定することによって、レンズの機能をフルに発揮可能です。そのために、レンズに合った大きさの前嚢切開(CCC)を瞳孔の中心に作成する必要があります。また、乱視をできるだ減らすことも重要ですが、当院では、手術ガイドシステムであるVERIONシステムとレーザー白内障手術マシンであるLenSxをコラボレーションさせることにより、乱視矯正に強いレーザー白内障手術の提供が可能です。

患者さんの目とライフスタイルに合ったプレミアム眼内レンズをレーザー白内障手術で行う白内障手術は究極のオーダーメード白内障手術といえます。

以下に詳しく説明していきましょう。

1計画通りの正確な手術

レーザー白内障手術では、3次元OCTで瞳孔の大きさと位置、角膜と水晶体の厚みや位置など目のかたちを術中に測定して、各患者さんの眼に合った精密な手術計画を立て、術者はそれをモニター画面上で確認しながら手術を行います。変更したい場合は各手術過程をカスタマイズ では?することができます。
通常の白内障手術では目に切開を入れて目の中に器具を入れて前嚢切開を行いますが、それだけでも眼圧が変化し、前房の深さが変わり、水流が生じて水晶体の位置は普段とは変わります。レーザー白内障手術は、目の中に入らずに前嚢切開や核分割を行うため、普段のままの位置にある水晶体に操作できます。この点もレーザー白内障手術の正確性に寄与しています。

①水晶体の中心に計画した直径の正円の前嚢切開

水晶体は対称的な凸レンズのかたちをしており、その中に眼内レンズを真ん中にまっすぐ静置することが望まれます。さらに、術後に水晶体の袋が収縮することまで考慮する必要があります。眼内レンズを長期的に理想に近い位置に固定するためには、できるだけ前嚢の真ん中に計画した大きさで丸い前嚢切開をした方が有利なのであり、術者が心がけていることの1つです。しかし、術者の目をもってしても術中に目の中心はわかりませんし、コンパスでも無ければ正円に切ることは難しいのです。レーザー白内障手術は3次元OCTで目のかたちを把握して中心を決め、コンピューター制御で前嚢を正円に切ります。人の手ではかなわない点です。

②計画通りのデザインで角膜切開

あらかじめ時計の何時方向と決めた位置に計画した大きさの角膜切開を行うことができます。手術のメイン創口である角膜切開は乱視に影響を与えますので、各目の乱視の状態に応じて切開位置を決めます。このため角膜切開の位置が正確であることが重要です。さらには、レーザー白内障手術機器は、角膜に切開を入れて乱視を矯正することも可能です。角膜輪部減張切開術といいます。これも正確な位置に行えるのです。
単にメスの替わりにレーザーで角膜切開ができるだけではなく、メスでは絶対にできない切開デザインで作成できます。漏れにくい切開デザインが可能なのです。

③術者が吸引しやすいように核を細かく分割

常に同じパターンで分割され、吸引操作がやりやすくなります。

2合併症が起こりにくい

白内障手術で最も多い合併症が、水晶体のふくろ(水晶体嚢)が破れることです。破嚢といいます。破嚢すると目の奧の硝子体が脱出してきますので、安全に硝子体を切除して眼底の病気が起きないようにする必要が出ます。それだけではなく、眼内レンズをふくろの中に固定できなくなります。代わりに、ふくろの前に固定したり、眼内レンズ縫着や強膜内固定を行いますが、眼内レンズを適切なポジションに固定することは難しくなります。単焦点レンズでは問題ありませんが、プレミアムレンズではその高機能を十分に引き出せなくなります。もちろん熟練した白内障術者であれば破嚢のリスクは低いのですが、レーザー白内障手術では水晶体をあらかじめ吸引しやすく賽の目のように細かく分割切開するため安全に吸引除去できます。
特に、水晶体を固定している線維(チン小帯)が弱い目では、チン小帯に負担がかかるとチン小帯断裂を起こすリスクがあります。断裂範囲が狭くても次の3で述べます眼内レンズの固定位置のずれを起こし多焦点レンズで見えにくくなるという問題が生じますが、断裂範囲が広いと眼内レンズの固定すらできなくなります。

3目の負担が減る

白内障手術では、水晶体を支えている線維(チン小帯)と角膜に負担がかかります。熟練した術者ほど、その負担が少なくて済むのですが、レーザー白内障手術はどちらの負担も最小化できます。まず、チン小帯のダメージは水晶体の袋の位置を偏位させるリスクがあります。このため袋の中に固定する眼内レンズが中心からずれて偏位してしまったり、傾いてしまったりします。多焦点眼内レンズなど高機能眼内レンズほど中心に傾かずに固定する必要性があり、影響が大きいのです。チン小帯に負担をかける手術操作は先述した「前嚢切開」と「核分割」です。レーザー白内障は、この2つの操作をチン小帯に負担をかけることなく行うことができるのです。特に、チン小帯が弱いハイリスク白内障では絶大な効果を発揮します。
次に角膜内皮細胞は角膜を透明に保つ働きをしていますが、白内障手術により減少します。2500~3000個/mm2が健常眼の角膜内皮細胞数ですが、500個/mm2を下回りますと角膜が腫れて濁る水疱性角膜症になり角膜移植が必要になります。白内障手術で角膜内皮細胞が減る原因は、長い超音波時間や大きな水晶体核の破片が内皮に当たることなどが挙げられます。レーザー白内障手術は、水晶体核をレーザーで細分化しますので、超音波時間を短縮でき、大きな核片が舞って角膜内皮に当たる心配もありません。特に、核が硬く超音波時間が長くなる症例や角膜と水晶体の間のスペース(前房)が狭いハイリスク白内障では意義が高いといえます。レーザー白内障手術はチン小帯と角膜内皮に優しい手術なのです。

レーザー白内障手術のデメリット

1手術時間が増える

一般に、レーザー白内障手術は、別室でフェムトセカンドレーザーを用いて治療操作を行った後、手術室に移動して水晶体の吸引除去と眼内レンズ挿入を行います。また、フェムトセカンドレーザーによる治療は精密であるからこそ、レーザー発振のセッティングに多少時間がかかります当院では、開院時より大きな手術室を設計しておりますので、フェムトセカンドレーザー機器を手術室の同室に設置しております。患者さんは、ベッドに寝たままで3m移動するだけです。

2白目の出血が増える

レーザー白内障手術で精密な操作を行うために眼球が動かないように眼球を吸い付けて陰圧をかけて固定します。この吸い付ける圧により白目が出血します。しかし、白目の出血は、目に悪影響はまったくありません。見た目だけの問題です。

3自費負担が増える

レーザー白内障手術は保険収載されておりませんので、保険でカバーされず自費負担が増えます。レーザー白内障手術マシンが高額なうえ、1回に使う使い捨てのレーザー手術用パックや材料費も高いためです。

レーザー白内障手術に適している方

1ハイリスク白内障の方

以下のようなリスクのある白内障の場合、手術の腕が問われます。熟練した術者の匠の技でも対応はできますが、レーザー白内障手術はリスクを最小化できるのです。

①水晶体の核が硬いと考えられる方
②水晶体の袋(水晶体嚢)を支える線維(チン小帯)が弱い方
③角膜内皮細胞が少ない方

2多焦点レンズを選ばれた方

多焦点眼内レンズの性能を最大限発揮するには、レンズをまっすぐ中心に固定することと乱視の矯正が必要になります。レーザー白内障手術は、そのために人の手よりも正確かつ精密な手術操作を可能にします。

レーザー白内障手術の流れ

レーザー白内障手術の流れ

白内障手術ガイダンスシステムVerion

1.術中準備
術前に外来で手術に必要な目のかたちを徹底的に測定します。角膜のカーブ(角膜曲率半径)、目の前後の長さ(眼軸長)などです。3次元前眼部OCTで乱視の原因になる角膜の真のゆがみを測定します。特に、レーザー白内障手術では目の3次元的な位置の把握が重要で白内障手術ガイダンスシステムVerionで目の表面の形状パターンを把握します。

術前に外来で手術に必要な目のかたちを徹底的に測定します。角膜のカーブ(角膜曲率半径)、目の前後の長さ(眼軸長)などです。3次元前眼部OCTで乱視の原因になる角膜の真のゆがみを測定します。特に、レーザー白内障手術では目の3次元的な位置の把握が重要で白内障手術ガイダンスシステムVerionで目の表面の形状パターンを把握します。

2.術中の流れ
③眼球を固定します

①眼球を固定します

専用の使い捨て固定器具で目が動かないように固定します。

②2次元光干渉断層計(3D OCT)で目の構造解析

②3次元光干渉断層計(3D OCT)で目の構造解析

仰向きになった手術を行う姿勢での目の構造を瞬時に把握します。1万回以上の高速スキャンで、水晶体の位置情報を取得して、コンピューターが記憶し、そのデータに基づいて治療計画を作成します。正確な治療のための設計図ができます。

③レーザー切開の確認作業

③レーザー切開の確認作業

角膜切開、前嚢切開、水晶体核分割切開の各プランはOCTの情報に基づいて自動に決定されます。術者は、コンピューターが作成したプランに問題が無いかを専門的知識で確認して、安全性と効果に留意して確認と微修正を行い最終プランを確定します。

④レーザー照射

④レーザー照射

最終プラン通りにレーザー照射が行われます。照射時間は個人差はあるものの、20秒前後です。痛みもなくただ待つだけです。

⑤核の乳化吸引、皮質吸引、眼内レンズ挿入

ここからは術者の手で行う操作になります。手術用顕微鏡の下に移動しますが、当院は同じ部屋にありますので、ベッドに寝たままで3m移動するだけです。

レーザー白内障手術の価格(税込)

トーリックなしのレンズ 77万円
トーリックありのレンズ 825,000円

レーザー対象となる3焦点眼内レンズは下記の通りです

  • レンティス
  • ファインビジョン
  • レイワン
  • アクリバトリノーバ
  • プレシゾン
  • トリノーバ
  • ミニウェル
  • パンオプティクス
  • アルサフィットフーリエ
  • インテンシティ

日帰り手術

欧米の先進国では90%以上の白内障手術は日帰り手術として行われています。我が国でも日帰り手術が急速に増えており3分の2が日帰り白内障手術になっています。大学病院や総合病院などのベッドのある眼科で行われている白内障手術は入院手術が多く、一方クリニック眼科では日帰り手術がほとんどです。ただし、入院と言っても1泊2泊程度ですので、外来通院回数はさほど減りません。

白内障手術そのものは、入院による術後管理は不要です。大事なのは術後診察が受けられることと、点眼がちゃんとできることです。それさえできれば、100歳を超す高齢の方も日帰り手術で十分です。高血圧や糖尿病などの全身疾患があっても通常は日帰りで手術は可能です。

最近では、むしろ高齢者では入院して環境が変わることにより認知症の悪化やベッドに寝てばかりいることにより沈下性肺炎を起こしたという報告もでてきています。いつもと変わらない環境と生活で手術を受けていただくことが良いと考えています。お風呂や寝る枕も、やはり自分の家の慣れたものが良いですよね。

当院は、白内障手術だけではなく、緑内障手術も硝子体手術も日帰り手術です。術後成績は入院ベースの大学時代と変わりません。むしろ、手術が速くなりました。眼科専属のナースによる手術介助など、すべてを眼科診療のために特化できるからです。

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当法人で白内障手術が申し込みできるクリニック

  • はんがい眼科 「大宮駅」東口より、国際興行バス 7番「南中野バス停」下車 徒歩5分 Tel:048-681-0101
  • 板谷アイクリニック銀座 東京メトロ 銀座駅C8出口より徒歩1分東京メトロ 銀座1丁目駅5番出口より徒歩3分 Tel:048-681-0101