先端機器(検査)パート4

はじめに

多焦点白内障手術の成功の鍵は、「レンズとのマッチング」と「精度の高い白内障手術行程」です。「ライフスタイルと眼内レンズのマッチング」は、聞き取りが中心になりますが、「と眼内レンズのマッチング」は、目のかたちを測定する検査機器が大きな役割をはたします。角膜、瞳孔、眼底に多焦点眼内レンズで不適合が起こる問題がないかどうかをスクリーニングします。次に重要なのは、眼球を測定し「眼内レンズの度数決定のための検査」です。多焦点眼内レンズは度数がズレると見えにくい距離ができたり、不快な見え方になるリスクがあります。5%くらい度数がずれやすい目があります。適切な度数を予測するために複数の検査機器と複数の予測式を駆使します。もう一つは、角膜乱視がある目は、乱視を小さく矯正しておかないと、裸眼視力がでなかったり、変な見え方になります。実は、角膜乱視は角膜の表面だけではなく角膜裏面も関与し正確な測定が難しいのです。角膜裏面も測定できる機器で把握することが重要です。

3次元前眼部OCT「CASIA2」(トーメー社)

3次元OCT「CASIA2」は、角膜全体の形状解析を短時間で行える優れものの測定機器です。OCTは厚みの測定に優れ、高速であるため目の動きの影響を受けずに角膜全体の形状を瞬時に捉えます。気がついていない円錐角膜など角膜形状異常を短時間で解析します。円錐角膜は、角膜の中央が薄くなっている異常で、不正乱視を引き起こしますので、知らずに通常の多焦点眼内レンズを使用すると思ったように視力が出ず困ることになります。他にも、レーシック眼、外傷歴のある目など角膜に不正乱視を引き起こす形状異常を捉えます。


【CASIA2の角膜形状解析】

さらに、3次元OCT「CASIA2」が威力を発揮するのが、角膜の乱視測定です。角膜乱視は、角膜前面乱視と角膜後面乱視から生まれる乱視ですが、従来の測定機器は、角膜前面の屈折しか測定しないため、角膜後面乱視の影響を直接考慮できず、不正確になるリスクがあります。角膜後面乱視は倒乱視であることが多く、この後面倒乱視が大きいとき、あるいは、逆に直乱視であるときは注意が必要です。


【角膜乱視は、角膜前面乱視と角膜後面乱視からなる】

【実際例】

ウェーブフロントアナライザー KR-1W(トプコン社)

トプコンウェーブフロントアナライザーKR-1Wは、従来のレフラクトメータ/ケラトメータや瞳孔測定など複数の測定ができますが、なかでも本機種の特徴は、ハルトマン・シャックセンサーによる眼球の全収差を測定できることです。収差とは、光の波面がひずむことを言います。眼球の全収差とトポグラファーの機能から得られる角膜収差を比べることで、見えにくさの原因となる高次収差(不正乱視)が、角膜もしくは内部(水晶体、硝子体、網膜)のどちらに起因するかを判断することが可能です。眼球全体の収差を把握することは、多焦点眼内レンズの適応を考慮したり、乱視矯正を行うにあたり基礎となる情報です。


【マルチマップ】目の収差の全容を表示してくれます。収差がもたらすランドルト環の見え方も再現します。

【IOLセレクションマップ】IOL種類選択を行う場合に最適なパラメーターを提示します。

瞳孔記録計「アイネクストVIP-300」(米NeuroOptics社)

多焦点眼内レンズの性能を発揮するには、瞳孔径3ミリ以上が望ましいと考えられます。瞳孔記録計アイネクストVIP-300は、瞳孔径をリアスタイムに測定し、明所暗所での瞳孔径の変化も記録することができます。

「コントラストコントラストグレアテスター CGT-2000」(タカギセイコー社)

視力は良好なのになんとなく見えにくいという場合や、明るい場所での視力検査で良好な視力が出ても、夕暮れ時や薄暗い場所での見え方が何かカスミがかかったように白っぽく見えたりするのは、白内障などが原因でコントラスト視力が落ちている可能性があります。また、初期の白内障でコントラストが落ちていると、光が差し込むと極端に見えにくくなることがあります。このように日常のさまざまな状況の中で、よく見えるためにはコントラストがある程度保たれている必要があります。コントラストコントラストグレアテスター CGT-2000は、30cm・60cm・1m・5mの4段階の検査距離で、コントラスト感度を測定できます。通常のコントラスト感度測定と、まぶしい光を検査中に目に当てるグレア状況下でのコントラスト感度測定の両方を行うことが出来ます。

多焦点眼内レンズの適応を考えるにあたり、コントラストがある程度低下している白内障であることが望ましいのです。詳細は、「パート6 デメリット ―多焦点眼内レンズの不適合について」を参照ください。


【コントラスト検査の例】53歳男性左眼、2020年3月3日に多焦点白内障手術を施行。術前と同年4月27日にコントラストコントラストグレアテスターで検査を行った結果を示す。術前、コントラストは正常域を下回り、術後コントラストは正常域にもどった。多焦点白内障手術の良い適応であることがコントラスト面から支持される。

眼底用OCT “SPECTLARIS”(独Heidelberg Engineering社)

黄斑の健康が一目でわかる鮮明な画像を映し出します。黄斑には加齢とともに、さまざまな病気が起こります。40歳を超えると20人に1人は緑内障であることがわかっています。多焦点眼内レンズを考えるとき、黄斑の健康と緑内障の有無や程度を把握することが必要です。OCTは、そのための重要なデータを提供します。


【健康な黄斑のOCT画像】

光学式眼軸長測定装置OA2000(トーメー社)

眼内レンズの度数決定に中心的役割を果たす光学式眼軸長測定装置です。フーリエドメインOCT技術を応用した最新式の測定モデルです。これまで光学式眼軸長測定装置は、白内障による混濁が強いと測定できず、超音波測定に切り替える必要がでる症例を時々経験しましたが、フーリエドメインOCTの高感度と高速性の効果で、多点の測定が可能になり、測定可能な症例が増えました。正確に眼軸長を測定し、10種類のIOL度数予測式を搭載し、適切な眼内レンズ度数を決めるために威力を発揮します。