048-681-0101

受付 8:30〜12:00 14:30〜18:00

ネット予約

硝子体手術

硝子体手術とは

網膜剥離や増殖糖尿病網膜症などさまざまな目の奧(眼底)の病気を治す手術です。眼底の病気である網膜硝子体疾患は、一言で言うと硝子体が網膜に異常な力を加えて黄斑が変形してしまう病気です。硝子体は、目の中を占める透明なゲル状組織です。黄斑は網膜の中心にある視力の源です。黄斑が変形すると、見えにくくなったり、ゆがんで見えたりします。硝子体手術は、硝子体や硝子体が原因で起きる増殖膜をきれいに取り除き黄斑を守る手術なのです。近年硝子体手術の道具が劇的に進歩して安全性が高まり、日帰り手術が可能になりました。

硝子体手術で治せる病気には何があるか?

幅広い眼底疾患に対応している手術です。主な病気を挙げます。

硝子体の病気

硝子体が病気の原因になる疾患群です。

黄斑円孔
硝子体が黄斑の中心を引っ張って孔を開けてしまう病気です。真ん中が見えなくなります(中心暗点)。
黄斑前膜(黄斑上膜)
硝子体は生理的な加齢変化で網膜から離れます(後部硝子体剥離といいます)が、網膜表面に薄い膜を残してしまいます。この膜に細胞が集まり分厚くなり縮むと黄斑を変形させます。みえにくくなったり、ゆがんで見えるようになります。
裂孔原性網膜剥離
後部硝子体剥離が急に起きたときに網膜の周辺部の薄い部分が引っ張られて孔が開いて起きます。剥離は広がり黄斑も剥離させ、放っておくと黄斑が機能を失います。
増殖硝子体網膜症
網膜剥離がこじれたり、外傷性網膜剥離の症例で起きる難治性疾患です。網膜表面に強力な厚い膜が張り、網膜を引っ張って孔を開けたり、剥離させたりします。複数回の手術が必要になることがあります。

網膜血管の病気

網膜血管の病気が原因になる疾患群です。

増殖糖尿病網膜症
網膜から硝子体にかけて新しくもろい新生血管が生じます。新生血管のまわりに強力な膜が張り網膜を強く引っ張り網膜が剥がれたり、破れたりします。黄斑が著しく変形してしまうこともあります。
黄斑浮腫
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎などで黄斑がむくんでしまう病気です。標準治療はVEGF阻害剤の硝子体注射ですが、黄斑前膜が張ってきたり、何度注射しても再発してしまうような場合に硝子体手術を行います。
黄斑表面の硝子体膜が関与していることが多く、また硝子体がむくみの原因物質を貯めてしまうことも悪化原因になっています。
硝子体出血
裂孔原性網膜剥離や増殖糖尿病網膜症などを含むさまざまな原因で起きます。突然見えなくなります。手術で出血を取り除き原因となる問題を見いだして治します。

網膜の土台の病気

網膜下出血(加齢黄斑変性)
加齢黄斑変性は、VEGF阻害剤の硝子体注射がスタンダードな治療法ですが、時に黄斑の下に大出血を起こすことがあります。さらに、その出血が硝子体の中へ移動して硝子体出血になります。黄斑下の出血が多いときはティッシュプラスミノーゲンアクティベーターというお薬で固まった網膜下の出血を溶かし、黄斑の外へ移動させて視力を守ります。

硝子体の病気

  • 黄斑円孔

  • 黄斑前膜(黄斑上膜)

網膜血管の病気

  • 増殖糖尿病網膜症 硝子体出血

  • 増殖糖尿病網膜症(増殖膜 )

網膜血管の病気

  • 網膜中心静脈閉塞症(黄斑浮腫)

  • 網膜細動脈瘤

網膜の土台の病気

  • 加齢黄斑変性

硝子体手術の方法は?

セッティング

角膜から3~4 mm離れた白目の部位に3カ所または4カ所治療用創口をつくり、そこから細い器具を目の中に入れて病変部を治療します。各器具には、それぞれ役割が有ります。

  • 目の中に人工房水を注ぎ込んで目の圧を保つチューブをつなぎます
  • 治療部位を明るく照らす照明器具の出し入れを行います
  • 実際に治療操作を行う器具の出し入れを行います

この治療器具には、硝子体を切除する硝子体カッターや網膜表面の薄い膜を剥離除去するマイクロピンセットなどがあります。通常は片手に照明器具を持ち、残りの手で治療器具を操りますが、両手で治療操作を行いたいときは、4つめの孔に天つり型の照明を置きます。近年、各システムに用いられる手術器具が劇的に進歩して硝子体手術の安全性が高まり、日帰り硝子体手術が安全に行えるようになりました。

硝子体手術の3つの創口の役割

治療操作

  • 01硝子体切除

    硝子体を切除します。切除する量は病気により異なります。例えば、黄斑前膜や黄斑円孔は70~80%切除するだけで十分です。一方、網膜剥離や増殖糖尿病網膜症は徹底的に硝子体を切除することが重要です。できれば100%取りたいところですが、実際は硝子体と周辺部網膜(硝子体基底部)は強く癒着しており100%は切除できません。単純な硝子体出血は硝子体切除だけで治ります。

  • 02膜剥離・内境界膜剥離

    黄斑前膜では、黄斑部の網膜表面に張って黄斑を変形させる膜を剥離除去します。黄斑円孔、黄斑浮腫、増殖糖尿病網膜症では黄斑部の網膜の一番表面にある内境界膜という厚さ5μmの膜を剥離除去します。このような操作は、黄斑が本来のかたちに戻っていくのを促します。

  • 03増殖膜除去

    増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症では、網膜を破壊的に引っ張る強力な膜(増殖膜と呼びます)が網膜剥離や強い黄斑変形を起こします。この増殖膜を網膜に孔を開けないように時間をかけて丁寧に切除していきます。増殖糖尿病網膜症の増殖膜は新生血管を含んでいます(血管増殖膜と呼びます)ので、出血をコントロールしながら除去します。

  • 04ガス置換・オイル置換~網膜を伸ばすアイロン効果

    網膜剥離ではもともと網膜に孔が開いています。硝子体手術では、網膜が薄いほど、難しい症例ほど術中に網膜に孔が開くリスクがあります。網膜の孔は網膜剥離を引き起こします。孔の周りをレーザーで焼き付けて、目の中の房水をガスまたは空気に置き換えて、その圧でアイロンのように網膜を伸ばし、孔を塞いで閉じます。ガスは10日ほどで吸収されて無くなります。重症例では減らないシリコンオイルを使いますが、治ってからシリコンオイルを抜く手術が必要になります。

最新の硝子体手術について

近年硝子体手術は著しい進歩を遂げ、安全性が高まりほとんどの症例が日帰りでできるようになりました。硝子体手術の進歩は次の3つです。

  • 01小切開硝子体手術:「27ゲージ小切開硝子体手術」

    針の太さを示すゲージ

    手術の歴史は器具を細くして手術創を小さくする進歩にあります。硝子体手術も例外では無く、私が研修医の時の20ゲージ(直径0.8ミリ)から現在は27ゲージ(直径0.4ミリ)まで細くなりました。単に器具が細くなっただけではなく、トロカールという器具の出し入れ用のガイドシステムが生み出されて安全に器具の出し入れができ、器具を抜いた時に弁が目の中の房水が外に漏れるのを防ぐことができるようになりました。これを小切開硝子体手術と総称します。黄斑前膜(黄斑上膜)や黄斑円孔など難病でない眼底疾患なら手術創は自己閉鎖するため縫う必要もありません。網膜に孔が開く網膜剥離の合併症も激減しました。小切開硝子体手術の登場により日帰り硝子体手術の時代が始まったのです。はんがい眼科では、27ゲージ小切開硝子体手術を中心に硝子体手術を行います。網膜剥離や増殖糖尿病網膜症などの難症例は、23ゲージ、25ゲージ、27ゲージを使い分けた小切開硝子体手術で治療します。27ゲージ小切開硝子体手術の使用率は約90%です。全症例日帰り手術を行っています。

    細い治療用器具を操り眼底の病気を治す細い治療用器具を出し入れするためのガイドシステム

    • 創口跡1

    • 創口跡2

    • 創口跡3

    黄斑前膜や黄斑円孔などの非重症例では縫合の必要が無いことが多い。翌日創口はきれいに閉じている。

  • 02硝子体カッターのハイスピード化

    私が研修医の時は硝子体カッターの回転率は1分間に400回転でした。こう書くと速いと思われるかもしれませんが、硝子体を引っ張って網膜に孔が開くことが多かったのです。しかし、今では7500回転/分と20倍近くになり、網膜剥離を引き起こすことはほとんど無くなりました。

  • 03広角観察システム

    私が研修医の時は、プリズムレンズを用い小さな穴蔵から目の中の硝子体を切除している感じがありましたが、広角観察システムが生まれて、眼底全体を見渡しながら硝子体切除をできるようになりました。「木を見て森を見ず」の手術では無く、「森を見て木を見る」手術に進歩したのです。

    広角手術のイメージ

    従来は絵に直接触れるうプリズムレンズなどを用いて拡大していたが目に触れないレンズ 使い、さらに拡大レンズを増やして従来より大きい観察系を実現しています。それが「広角手術」です。

いつ手術を受けるべきか?

眼底の病気や病状により多少異なりますが、高い視機能を残すには早めの手術が望ましいと言えます。緊急性の高いものから説明します。

裂孔原性網膜剥離
緊急で行う必要があります。黄斑部が剥がれると治っても歪んで見える症状が残ります。黄斑がすでに剥がれていた場合、手術が早いほど高い視力が残ります。当院は、基本即日緊急手術を行っています。
硝子体出血
原因により緊急性は異なりますが、原因不明の場合が問題です。増殖糖尿病網膜症が原因の場合は、反対側にも網膜症がありますので原因が推定しやすくある程度待つことができます。原因が推定できない場合は、緊急性を要する場合、すなわち、網膜裂孔形成による硝子体出血の場合を想定して、緊急手術とまでは言いませんが、早めに手術を行うべきです。
黄斑円孔
徐々にですが時間とともに黄斑の孔は拡大し、孔の縁の光を感じる細胞が死んでいきます。緊急性はありませんが、1ヶ月以内には手術を行いたいところです。
黄斑前膜
もともとゆっくり進む病気ですので急ぎません。ただし、早いタイミングで手術を行った方が、1.0以上の矯正視力に到達する可能性は高まりますし、歪みも治る可能性が高まります。逆に言うと、黄斑が分厚く腫れてしまい視力が不良な症例は、手術で視力は改善しますが1.0以上の高い視力に届かないリスクが高く、歪みも取れにくいのです。

想定される手術合併症

病気により合併症の起きる頻度や内容は異なります。

共通する合併症

裂孔原性網膜剥離
ごく稀ですが、硝子体を切除するときに硝子体がつながる網膜が引っ張られて孔が開くことがあります。放置すれば網膜剥離が起きますので、硝子体を郭清し孔の周囲をレーザーで焼き付けて網膜剥離を防ぎます。27ゲージ小切開硝子体手術では、ほとんど経験しなくなりました。
術後眼圧上昇
稀ですが術後眼圧が上昇することがあります。もともと緑内障がある方の方が起こりやすいです。緑内障点眼でコントロールできる場合がほとんどですが、ごく稀に緑内障手術が必要になります。
術後眼内炎
小切開硝子体手術は創口が小さくなり感染のリスクは減りました。しかし、抗生物質が効かない耐性菌が問題であり、眼内炎のリスクはわずかながらあります。眼内炎は早期発見が重要です。術後3日目以降の急な目の痛み、白目の充血の悪化があれば疑って、すぐ眼科受診が必要です。
駆出性出血
きわめて稀ですが網膜の土台の血管である脈絡膜から大量の出血が起こることがあります。目の壁に切開を入れて溜まった出血を排出します。

疾患特異的な合併症

血管新生緑内障~もっとも難治な緑内障
増殖糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症の併発症の1つである血管新生緑内障が術後に起こることがあります。目の中の房水の出口である隅角に新生血管が生えて隅角が閉塞し破壊され眼圧が急激に上昇します。緑内障点眼では制御できず、手術により治療しますが、手術の効きも悪く治療に難渋することがあります。虚血が強いほどリスクは高い合併症です。初回手術で、硝子体を徹底的に切除し網膜の端までレーザー光凝固を行うことによりリスクを減らすことができます。当院では、血管新生緑内障には、硝子体手術と緑内障手術の同時手術で網膜と視神経を同時に守ります。通常の緑内障手術の効果が持続しない場合は、緑内障インプラント手術でコントロールします。
増殖硝子体網膜症~繰り返す再増殖反応
増殖硝子体網膜症は、網膜剥離を放置すると起きる難治な病気です。これが、網膜剥離の手術の後に起きることもあります。網膜の孔が大きいほど、手術までの時間が長いほど起きるリスクは高まります。初回手術で徹底的に硝子体を切除することでリスクを減らします。いったん増殖サイクルに火が付くと手術で増殖膜を取り除いても、再増殖を繰り返し何度も手術が必要になることもあります。

代表症例の具体的治療

代表症例