ウイルス性結膜炎とは
目にウイルスが感染してしまうとウイルス性結膜炎になります。
主な症状は目の充血・目ヤニで、アレルギー性結膜炎と並んで多くの方が経験する結膜炎です。
結膜は白目を覆う表皮のようなものですが、涙液で覆われる粘膜の性質も持ち、まばたきを滑らかにしています。目を外敵から守る役割をしていますが、その分外敵にさらされていて、感染力の強いウイルスには感染しやすいのです。
ウイルス性結膜炎の原因となるウイルスは複数存在し、風邪の原因ウイルスなど身近なものばかりです。ウイルス性結膜炎の方が目をこすった手やタオルを介して感染しますので、家族はもちろん学校や職場での集団感染を起こすことが知られ注意が必要です。
原因となる3つのウイルスにご注意
ウイルス性結膜炎を引き起こすのは、主に下記のウイルスです。
- アデノウイルス
- エンテロウイルス
- ヘルペスウイルス
以降に各ウイルスごとに起こる結膜炎の特徴を挙げていきます。
ウイルス性結膜炎の種類とその症状
流行性角結膜炎
一般的に「はやり目」として知られている結膜炎です。
アデノウイルス(8型・19型・37型・54型など)が原因ウイルスです。
主な症状
- 目の充血
- 多量の目ヤニが出る
- 多量の涙が出る
- リンパ節が腫れる場合もあり
多くは、風邪のように自然治癒力で治りますが、重症化すると、結膜の表面に偽膜と呼ばれる白い炎症性の膜ができることがあります。偽膜は、角膜を障害したり、結膜の癒着を引き起こしたりするため除去する必要があります。特に小さなお子さんは偽膜が生じやすいので注意しましょう。潜伏期間は7日~10日です。強い炎症がでると結膜炎が治っても黒目(角膜)の表面に小さな濁りが残りかすんだ感じが続く方がいます。この濁りは時間とともに徐々に消えていきますが、数か月かかることもあります。
咽頭結膜熱
アデノウイルス(3型・4型・7型など)が原因ウイルスの結膜炎です。
夏にプールを介して子供たちに流行することが多いため「プール熱」と呼ばれます。のどの痛みと高熱に特徴があります。潜伏期間は流行性角結膜炎と同様です。
主な症状
- 白目の充血
- 目ヤニが出る
- のどの痛み
- 高熱
急性出血性結膜炎
エンテロウイルス(70型)、コクサッキーウイルス(A24変異型)などのウイルスが原因で起こる結膜炎です。白目に出血が起こることが多いことが病名の由来です。
主な症状
- 目の充血や出血
- 目ヤニが出る
- 目の異物感・ゴロゴロする感じ
ヘルペス性結膜炎
口唇ヘルペスの原因でも知られる、単純ヘルペスウイルスによる結膜炎です。お子さんが初めて単純ヘルペスウイルスに感染した際には、ヘルペス性結膜炎が出現しやすくなります。
主な症状
- 目の充血
- 目ヤニが出る
- 涙が出る
- 両目同時に症状が出ることは少ない
- 目の周りに小さな水ぶくれ(水疱)が出る場合あり
ウイルス性結膜炎の治療
現在、ウイルスそのものに効く効果的な治療方法はありません。ウイルスに対する抗体ができて体内から排出され自然治癒します。
すなわち、十分な栄養補給や睡眠で身体の免疫力を高め、症状を悪化させないように努めることが大切です。ただし、ウイルス性結膜炎で目の表面の防御力が弱まり細菌に2次感染して症状を悪化させることがあるため、抗生物質の点眼を行うことがあります。また、先述したように炎症が強く出ると偽膜を形成したり、角膜上皮の障害が長く続くことがあるためステロイド点眼を使用することがあります。
当院では対症療法として、炎症止めのお薬を処方します。
ウイルス性結膜炎の流行を防ごう
この病気でもっとも大事なのは流行を防ぐことです。ウイルス性結膜炎は学校伝染病に指定されています。周囲への感染力がなくなったと判断されるまで、登校が禁止されているのです。感染のリスクがあるのは、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では約1~2週間、急性出血性結膜炎では3~4日です。その期間、学生に限らず社会人でも医師のOKがでるまで、集団の場に出ないように努め、流行にブレーキをかけることが必要なのです。
家族間の感染を防ぐために、目をできるだけ触らない、目を拭くときはテッシュペーパーなどの使い捨てのものを使い、使ったタオルは家族に使わせない、不用意に目を触らず、また手を流水でよく洗う、などを励行しましょう。
ウイルスは目をこすった手や目を拭いたハンカチなどから感染することがほとんどです。感染を予防するにはよく手を洗うことが重要です。またタオルなどは家族と別のものを使い、お風呂は最後に入るようにしましょう。